サンキューカルテット。ドーナツの、穴。
ほんとほしい。
真紀さんは、何もかも捨てていく。
本名も生まれた町も。
夫が殺した(と思った)女も捨てて逃げようとする。
そして夫を捨てたあとは、夫にもらった詩集も焼き捨てる。
「わたし、疑惑の美人バイオリニストですよ?」と
演奏家としてのプライドのようなものも捨てる。
そういえば、あの家に住み始めた時も
「カーテン買ってきました」と誰にも相談せずに
元のカーテンを捨てる前提で話を進めてる。
そして、たくさん捨てたあとに残したものを
ほんとうにほんとうに、大事にする。
音楽と、カルテットドーナツホール、だけ。
ドーナツホールの「穴」は、「欠けているところ」ではなくて
「自ら捨て去ったもの」だったのかもしれない。
捨てたところがあるから、ドーナツは成り立っている。
サンキューパセリ。ありがトゥーショコラ。